[原点回帰] 業務系システムは、四半世紀前に戻れば良い3つの理由 [序章]

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本気ととるかネタととるかは貴方次第の話をします。
企業の業務系システムは、古くのホスト+ダム端末で、黒背景で 80×24文字を表示するだけのアーキテクチャに戻った方が、業務効率が良くなると、日々、考えています。
ホスト系の黒背景の文字だけ画面というのは、”ホストコンピューターへの戸惑い : The world is a playground” の方のblogに画面写真あるので、ご参考にどうぞ。

調べてはいないですけど、同じコトを考えている人はいる気がするので、とりあえず思いつくことだけを書き殴ってみます。

目次

1.最近のコンピュータ・アーキテクチャは回帰傾向にある

そんなことを思いついた理由ですけれども、最近のシステムアーキテクチャって、昔に戻ってる気がしてならないんです。ちがいがあるとしたら、Internet との関わりくらいでしょうか。
おおきくは次の二つです。大ざっぱなアーキテクチャとしては、四半世紀に流行ったアーキテクチャと、ほとんど同じです。

各時代のComputing Architecture
各時代のComputing Architecture

1-1. セントリックコンピューティング

Internet のお陰で、どこでも誰でもネットワーク上の資源を利用することができるようになりました。
オンプレミスからクラウドへの移行も進み、ますます、システムもデータも Internet 上へ配置することが当たり前のようになってきています。かつて、host centric な集中型から、ダウンサイジングされたクライアント・サーバ時代を経て、network centric “ネットワーク・コンピューティング – Wikipedia” な時代を迎えています。
結局集中化・集約化が進み、かつての host centric な時代を思い出します。必要なものが、必要な場所に一極集中されると言う点では、昔に戻っています。私個人としては、コンピュータに集約していたか、ネットワークで集約したかの違いでしか受けとっていません。

1-2. シンクライアント

様々な理由はありますが、端末をダム化して、必要な機能を持ったクライアントをサーバ側に配置することで、安全に、かつ場所をちがえども同じ環境で業務を利用できるよう、シンクライアント化も進んでいます。端末も一極集中して、運用管理の手間も削減することが望まれていますが、これって、ホストやサーバをダム端末からアクセスしていた過去と全く同じ状態です。シンクライアント専用のクライアントも出ていて、VDI でお話ができるダム端末ってだけですよね。

2.ホスト中心に戻った方が良い3つの理由

結局、一極集中、ダム端末かと言うことであれば、「業務系端末に限っては」ホスト中心に戻っても良いだろうというのが、私個人の判断です。その効果は次の3点です。

2-1.コスト削減

コストが下がるか、売上が上がらないかしないと企業は納得しません。ゆえにとにかくお金の話です。
削減できます。

なぜか。

企業の多くは、ダウンサイジング時代にクライアントサーバ型へ移行し、そのしがらみによって暮らしています。
ただ、大手や金融系はメインフレームでの基幹業務を手放すことはできず、今でもしっかりちゃっかり使っているどころか、国内でも出荷が増えています ( “2013年第3四半期 国内サーバー市場動向を発表” ) 。大型の更新時期と被っているので、出荷額の大幅増は素直に受け入れられませんが、ここ数年好調であることは否めません。

そして、SOA という魔法の言葉や、HOST の WEB化ミドルウェアなどを駆使し、メインフレーム上から転送される貧相な画面情報を、WEBでむりくり表示しているケースが散見されます。
この途中にある、WEB化するアプリケーションサーバやWEBサーバを排除することができるので、その分のコスト削減に繋がります。
クライアントは、ダム端末が存在しないので、3270/5250/FALCON などのエミュレータを備えたクライアントが必要なので、ここと現行の端末とでの比較は必要です。

そしてもう一つ、ネットワークコストが下がります。単純に転送するバイト数が減るので、WAN を GbE の広域にしなきゃとかいりません。末端はISDNでも快適です。だって、一画面 80×24 の文字データだけですもん(正確ではないですが)。

2-2.業務効率の向上

余計なことをさせなければ、業務の効率は必然的に上がる、と日々考えている今日この頃です。

過去に、ダム端末業務をWEB化するにあたってよく言われたことが「業務効率が落ちる」です。
ダム端末業務は、最初の利用者のハードルは高いですが、慣れてくるととても速くなります。エンジニアの人向けに分かりやすく説明すると、Windows Server で GUIで設定するのは、素人では設定しやすいでしょうが、玄人は CUIのほうが速くて正確です。
転送データが少ないことで、画面の転送データも少なければ、それだけ速く画面遷移もできますし、業務データに限っては入力する内容も固定なものが多いですので、慣れてくると業務効率が高まってきます。

実際にWEB化されたところで、「ダム端末時代ほどとは言えないが、そこそこ慣れて速くなってきた」という意見も多く、WEBでも操作感・インタフェイスデザインをきちっとやれば、業務効率的には同等に近いところまでくるでしょうが、新しい業務アプリケーションが入ってくる度に、新しい入力や使い勝手になれる必要があるので、この辺はアプリ開発のガバナンスをどうやって維持するか重要です。

ただ、CUIなダム端末に限っては、インタフェイスと使い方自体は変わらないので、慣れている方の新しい業務パターンの習得にも時間は余りかからないものと見られます。

業務効率が向上すれば、その分、残業代を減らしたり、新しいコアコンピタンス業務の拡張なども考慮できますから、コスト削減と売上の向上を見込めるわけです。業務効率もコストに影響を及ぼします。

また、Internet利用無制限なクライアントを使わせることによって “公務員(54)、1年で2500時間以上アダルト動画収集し、最後はウイルスでPC破壊 – ライブドアブログ” のようなことも発生します。仕事してないじゃん、この人。ともかく、制限された業務端末であれば、余計な仕事をしないように制限ができると言うことです。
そもそも、お仕事で Internet繋げられないとお仕事できない基幹業務ってなんでしょうか? いらないよね、ほとんど。

2-3.セキュリティレベルの向上

ダム端末化はシンクライアント化でも言われているように、エンドユーザ利用者の端末からのデータぶっこ抜きに対応できます。
ダム端末なので、そもそもデータ抜けないです。印刷したり、ダウンロードしたりとかは、そう言った機能を付けないかぎりはいかようにもできないので、大量の情報漏洩が困難なものとなります。やったね。

また、基幹業務だけに利用するネットワークであれば、優先で完全に専用として、Internet との完全分離も可能でしょう。外部からは元より、内部から外部への情報漏洩にも対処できるでしょう。

3.デメリットや対策

良い面だけを書く人は信用されないので、デメリットやその対策について論じます。

3-1.そもそもメインフレーム使ってないんだけど…

はい、中小企業のほとんど全てがそうでしょう。そういったところに、この理論は通じません。あくまでも、今でも過去の遺産を使い回しして、無理矢理メインフレームをWEB化している企業向けの話です。
では、中小企業だけど、同じようなコトを実現するためにはどうしたらいいのでしょうか。

個人的には、旧AS/400 をオススメします。オフィスコンピュータとして常に最高評価を得ている “IBM i” をどうぞ。クライアントには 5250エミュレータがあれば良いです。IBM i は、標準で DB (DB2)もついていますし、発売当初からのバイナリ互換を保証していますので、ハードウェアの更改にも強いです。

3-2.業務系以外の人はどうしたらいいの

基幹業務以外の情報系などの分析業務に携わっている人たちは、分析のためにグラフを作って分析をしたり、大量のデータ処理が必要です。ただ、社員全体において、少ないメンバーだけですので、そう言った方々には専用のクライアントを準備する必要はあるでしょう。
とは言っても、多くても数十台でしょう。いいんじゃね。

今回のケースはあくまでも、末端の利用者であって、分析などが必要な情報・企画系などは、使い方を考慮せねばなりません。とは言え、現時点で情報分析サーバとクライアント入れて対処しているならば、そのままで良いでしょう。あとは、そう言った方々の「基幹業務処理をするために、専用のクライアントを持つべきかどうか」ですね。ネットワークを完全分離する場合に、極端な話クライアントも完全分離を決め込んでしまうケースもあろうかと考えられます。
複数業務を一つの端末で利用したい、という場合、クライアント・サーバ型のリッチクライアントは有益ではありますが、その分、脆弱で運用負荷が高まります。ダム端末のような機能制限型クライアントでは、その端末自身では益を生みませんが、頑強で運用負荷が少ないメリットがあります。これらメリット・デメリットをふくめ、クライアントアーキテクチャは検討が必要です。

サーバにおいては、メインフレームと、情報系のサーバは分離されることが多いと思われますが、メインフレームとサーバのデータのやりとりでオーバーヘッドが出ますし、メインフレームとは別にサーバを構成することでコストも発生します。できうることなら、メインフレーム内でうまくまとめて構築できる方が、コスト的にもメリットがあるだろうと考えられます。

そこで、個人的にオススメしたいのが “IBM zEnterprise” です。メインフレームは元より、その内部に Powerや X86ブレードを内蔵して、機能集約を果たすことができます。また、そもそも IBM Z であれば、メインフレーム上で Linuxを稼働させることができますので、メインフレームへ全ての機能を集約することも可能です。いかがでしょうか?

4.まとめ

最後まで読んでいただければ、本気なのかネタなのか良く分かるとは思いますが、一つだけ言えることは、そこまでして WEB化することに意味はあるんですか?

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