2.プロジェクトの課題
さて、そもそもプロジェクトの抱える課題とはなんでしょうか。
ここに有名な一冊の本があります。 [I]実は後輩に貸しているので、ここにはない←どうでもいい
エドワード・ヨードン著「デスマーチ・プロジェクト第二版」です。失敗プロジェクトを指す言葉として、一般的に使われている「デスマーチ」という言葉を提唱したことでも知られています。この本には、ITプロジェクトの抱える根本的な課題と、解決の糸口となるヒントが山盛りに書いてあります。多少、古い書籍ではありますが、ITプロジェクトの根本は変わっていないと言うことも認識できる内容となっています。まず、この書籍から、プロジェクトが失敗していく課題をひもといてみましょう。
p.008 に「デスマーチ・プロジェクトの発生原因」と明記されている部分があります。ここが、失敗プロジェクトの課題とひもづくのではないでしょうか。本編から抜粋して引用します。
- 政治、政治、政治
- 営業部門、経営陣、プロジェクト・マネジャーの天真爛漫な将来展望
- 若者のカワイイ楽観主義:「土日に出てくればできますよ」
- ベンチャー企業立ち上げ時の楽観主義
- 海兵隊方式:本物のプログラマは寝ずに働く!
- 市場の国際化による競争激化
- 新技術登場による競争激化
- 予期せぬ公的規則
- 予測不能の事件、事故。たとえば、ベースにする予定のハードウェアやソフトウェアのベンダーが倒産したり、中心となるプログラマ3人がペストで死亡するなど。
何か、お気づきになりましたでしょうか。
そうです、プロジェクトの失敗する原因は「人」に起因するものがほとんどです。政治、他部門、若者、楽観主義、海兵隊、予測不能の事件・事故、これらは「人」の行動に起因して発生するものです。その他、市場や技術、公的規則などは、プロジェクトに対する「制約」となり、「運が悪かった」ケースとなり対処も困難です。
実際、p.095 にも記述されている「解決すべき三つの問題」として、
- 人
- 人
- 人
と記述されていることからも、とにかく、「人」を制したものがプロジェクトを成功に導き出せるのではないか、ということが伺えます。
では、人が起因する原因から、実際にプロジェクトで発生すると予測される課題を考えてみましょう。大きく分けて、二つの課題があるのではないでしょうか。
- プロジェクトが可視化されていない
- メンバー間で、情報が正しく連携できない
これらは特に Excelなど、手作りで管理されているプロジェクトには特筆すべき事項ではないでしょうか。皆様のプロジェクトを思い浮かべてみてください。
まず、「プロジェクトが可視化されていない」とは、プロジェクトの状態・状況が、健全なツール・スキルにより目に見えるようになっていない、ということです。プロジェクトの進捗を進捗管理表などによって把握したつもりになっていても、実際はその項目が完了していなかったり、そもそも項目が不足していたり、いつまでたっても進捗が 90%のままで停滞していて、そのワークがどのような状況にあるのか分からない。そもそも、プロジェクトの進捗状況は各人の想いによって(良いように)申告され、プロジェクト・マネージャの想いによって進捗を(悪い方へと)管理されています。
この、プロジェクトの状態が可視化されていない状況により、各メンバーとも正しく情報を連携することができない状況におかれてしまいます。作業場所、作業環境、作業者のスキルレベルなどから、コミュニケーションがうまくとれない、といったケースが生まれてきます。コミュニケーションが正しく取れない場合、プロジェクトの状況を可視化することもできなくなる、といったように、各々の原因には相互の関係があります。ですから、片方の原因だけを解決してもうまくいきません。両方の原因を解決するための方法論が必要となります。
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References
↑I | 実は後輩に貸しているので、ここにはない←どうでもいい |
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