嬉しくも恥ずかしくも、こんなに予定の詰まった人生は生まれて初めてのしょっさんです、おはようございます。
おかげさまで、どうやって規則正しい生活を送るか、食事の内容をどのように制限するか、飲酒量をどうやって抑えるか、考えることがたくさんあって仕方なく漫画ばっかり読んでいる日々です。こんなにマンが読んで暮らしてるのも中学生以来の気がします。ある程度お金のある大人はお金で色々解決しすぎて、良くないと思います。
なんてことでしょう、実は、しょっさん初めての単発書籍を先日出版しました。
それが、こちら。翔泳社さんより 3/15に発売されました「子どもに読んで伝えたい! おうちではじめるプログラミングの授業」です。@htairaさんとの共著です。プログラミング教育に関して、子どもたちとどのように関わっていくかについてを私が担当し、@htaira さんには、IchigoJam で実際に、お子さんに BASICを教えてみた事例を書いていただいています。
この本の内容やレビューは、@hamako9999 氏の「プログラミング教育ってなに?」不安を抱える親エンジニア向けの入門本「おうちではじめるプログラミングの授業」が、ひじょーによくまとまっているので、こちらをご参考にご購入のご検討いただければ幸いです。こんなに書いていただいて、著者感涙の極みでございます。
目次
ボランティアの精神の芽生え
ということで、著者自身が本の内容を説明しても面白みにかけるので、なぜこの本を書いたのか、だれに向けてのメッセージなのか、本の中では語っていないことについて紹介します。
もともと、教育現場どころか、娘たちの学校生活自体にも興味の一切ない、エンジニアお父さんでした。妻がPTA役員をやっていましたので、保護者としての責務はまっとう以上のことをしているだろうと考えていました。もし、学校生活に問題があれば妻から問題が上がってきますし、学校生活に関しての課題は、私は抱えていませんでした。特に、私が学校側にできることもないでしょうし、人手が必要なだけだろう PTA活動において、私が時間を提供せずとも、他で提供できる人力のある人がやればよい。その程度に考えていて、最近だと、どこの学校でもお見かけできるおやじの会(我が地元小学校は「おじさんの会」ですが)にも入らず、地域の活動には一切貢献していませんでした。
こういったボランティアの活動について、考え方が180度変わったのは、今の会社に転職してからです。前職でも、会社を上げてボランティアの活動を行っていましたが、近くの公園の清掃とかの参加を促すメールが回ってくる程度しかなく、参加に価値も意義も見いだせませんでした。
今の会社では、どのようなボランティアでもかまわないので、業務としてボランティアへの参加が必須です。昨年度までは最低20時間。目標は56時間です。まじめに活動する内容を考えて、自ら積極的に参加していかないと、最低ボランティア時間にも足りません。そして、入社二日目にして、入社した全社員をボランティアに経験させるような入れ込みようです。
とは言え、自分の中でのボランティア活動について何も定まっていない状況下において、何をするべきか、やはり意義も価値も見いだせてはいませんでした。最初は「面倒なことさせる会社だなぁ」と思う程度でした。
とは言え、ボランティアを行わないと自分の評価にも影響するので、何かしなければと考えてはいました。しかし、そもそも「ボランティア」ってなんだろうと考えてみたとき、何をもって奉仕活動なのか、なにがボランティアなのか、会社としての線引もわからなかったので、「ボランティアってなんですか」というド素人な質問を、恥ずかしげもなく自社のボランティアを推進している部門の長に聞いてみました。こんなやり取りをかんたんに、気軽にやらせてくれるようなシステムを自前で準備している弊社製品と、風土と文化はやばいと感じてますが、その話はまた今度。というわけで、気軽に聞いてみたこの質問、どのような答えが返ってきたかといいますと。
「あなたがボランティア活動だと思うもの全てが、ボランティアのです」
といったものでした。すでにサイズ的には大企業の扱いにある会社が、自分の評価に影響もするだろう活動の内容について「己で判断せよ」という回答です。そのびっくりもありましたが、一番の気付きは「あ、そうか、何をしてもいいんだ」です。
そう、よくよく考えると、その当時も数々のIT勉強会を運営してきたり、活動を支援したりしていました。気がついたら、あれも無償ボランティアじゃない?と思いついたわけです。被災地へ赴いていって支援活動をすることも、清掃活動も、もちろんボランティアですが、大変です。場所的に遠くて参加自体が難しくて実現できませんでした。それ以前に、そもそも自分のやりたくもないことを、自らすすんでやることをボランティアだと勝手に判断していました。しかし、自分が得意にできることだったり、自分がやりたいと思って活動を支援していることもボランティアなんだと、そのときに気が付きました。もしかして、自分が普段活動していることのいくつかは、そもそもボランティアだったのではないかと。
錯綜と混沌とした教育現場
その後、紆余曲折を経て、PTA会長になったとき。あの頃の自分をぶん殴って、引き止めてやりたいくらいには、軽率な判断でした。PTA役員の活動も知らず、PTA会長が何をしているのかも知らずに、まぁよく「じゃ、やります」といったものかと。とは言え、知っていれば会長に就任することもなかったでしょうから、無知もたまには役に立つものです。
とりあえず、「目立てそう」というポイントと「ボランティア時間たくさん稼げそう」というよこしまな気持ちから、PTA会長に就任しました。PTA会長のしんどさについては、また今度まとめようと思いますが、ほんとにしんどかったです。何度後悔したかわかりませんが、普通に暮らしていたら巡り会えないようなことが、たくさん起きました。
まず、教育委員会との遭遇です。実態があるかどうかも、何をしているかもよくわかっていなかった、学校に問題があったときだけ、表舞台に現れる教育委員会と、さまざまな形でお会いし、実際に会話したり、議題をディスカッションをする機会があります。懇親会もあります。そこでわかったのは、ふつーの、サイロ化された階層化組織をもった、ふつーの(日本でよくみられる)組織であることです。
そして、区長とも会う機会があります。選挙のときにも見ることがないような区長とも会いますし、会話するようなこともあるわけです。そして、区議会議員や都議会、地域の育成・民生委員会など、普段、気がついていなかった組織を理解し、実際に相談したり、一緒にイベントを行ったりしています。自分が生徒だった頃にはわからなかった多くのイベントが、地域や教育委員会主導のもと行われていたりします。この多くのめぐり合わせは、自分のものの考え方を変えるに至るには、十分な刺激となりました。
そして、もっともPTA会長が多く接するのは、PTA役員ではなく、校長先生や副校長先生です。自分が小中学生だった頃、ほぼほぼ会話することもなくすごしてきた先生たちと、PTA会長は対等な立場として接することになりますし、協業して活動しなければなりません。この不思議な現象には、何か名前をつけておくべきと思いますが、とにもかくにも、普段の生活が一変するに必要な下地はこうやって形成されていきました。
こういった普段の校長先生たちとの会話や、教育委員会の現場の状況などを鑑みていると、2020年のプログラミング教育について、どのようにすべきか答えの出ていないようだというのが、事の発端です。ようやく、きっかけの話までやってきましたが、やたら長くなるのは私の文章の特色なので諦めてください。長いけれど読みやすい、がモットーです。どうでもいいですね。
教育する側が、どのようにすべきか考えあぐねている状況と同じくして、保護者も「そもそもプログラミング教育ってなんだ」とか「パソコン教えられない…」みたいな漠然とした不安を持っている方を多く見てきました。わたしの会社では、STEM教育やプログラミング教育もボランティアの一環としてすすめています。ある程度 PTA会長を努めていく中で、「これまで ITエンジニアとして携わってきたことは、これからの子どもたちの教育への一助となるのではないか」という考えが浮かびます。自分の意識の転換となるきっかけがここにあったわけです。
35歳定年説と35歳以後のエンジニア
どこでも否定され始めている、プログラマの35歳定年説ですが、わたしはすでに定年してしまった気持ちになる時があります。今の会社では Platform Specialist として、それはそれでその分野の最新技術をおいながら、他のSEたちを指導する側にいます。ですが、それ以上のことはできていません。
若い頃は、会社でやるべきことをやった上で、それ以上の最新技術を追い求め、寝ずにいろいろなことを試しては、自分の技術の糧としていきました。子どもがいるにしても、体力もありましたし、余力がたくさんありました。今ではどうでしょう。不惑もすぎると、ある程度、職務の責任もあることで、いろいろ試すには時間が足りませんし、睡眠時間を削るわけにもいきません。いかに集中して業務をこなして、いかに休息を取るか、いかに規則正しい生活を軸にして健康的な生活を送るか、いかにして、子どもたちを卒業させていくか。とにかく、時間がありません。仕事としてのITエンジニアは鍛錬できていますが、ある特定の分野で最上位の位置をキープするには、もう齢を取りすぎました。
そこで気がついたのが「育成」です。最先端の技術もすべて、基礎技術からの応用技術です。特定の最新プロダクトも、新たに、古い技術を組み合わせる事によって生み出されたものが多く、これらを支える不変の基礎技術というものは必ず存在します。そして、こういった基礎的な技術は、継続して若い人の育成には必要不可欠なものです。これまでも、わたしはIT勉強会で、基礎技術の育成をテーマにしてお話してきました。しかし、そこまで至らない、子どもたちの育成はどうするべきなのか。それ以前に、子どもたちを育成する人たちは、どうであるべきなのか。これまでの経験を活かしてできることは、「若い人の育成」ではないのかと思うに至りました。今の会社に入ったときの大ボスは、「これからは、若者の育成だ」といって、給料が安くなることを厭わずに、大学の教授になり、教鞭を振るっています。この大ボスの進退も、私の考えの変化に至る一つのきっかけだったのだろうと。
一生、現役のエンジニアということを否定しているわけではありません。私もそれを思い描いて、ずっとエンジニアをやってきましたが、いささか疲れました。育成が楽だというわけではなく、常にトップを維持し続ける体力と脳力は、次の世代に任せてがんばってもらって、そろそろその次の世代の育成を考えなければならない、そんな齢になったのかなという考えに至ったのです。
そこで、まず自分のできることが、2020年のプログラミング教育をきっかけに、多くの保護者・教職員に、「プログラミング教育の必要性」と「将来に向けたITを活用できる教育の必要性」を理解してもらって、そのうえで、何をすべきかというきっかけを与えることであると考えました。
その結果が、この度出版した書籍になります。
この本のねらい
まずは、2020年度の学習指導要領がどのように変わり、そのために保護者は何をするべきか、身につけるべきITリテラシーは何か、こわがらずにどうやってITを使っていくか、活用していくのかを学んでいただきたいと考えています。多くの保護者の方に、ITを正しく使っていただく「きっかけ」になったら良いなという気持ちを込めて執筆しました。多くの保護者・教職員のみなさまに、手にとっていただければ幸いです。
なんでこの本を書いたのか
おっさん世代エンジニアとして非常に共感できるなぁ。おっさんエンジニアとして、この先自分が何をしていくのかの一つのヒントになった。
35歳定年説のその先と、「自分が本当にやりたいボランティア」について。いろいろ考えるよね
プログラミング教育のことよりも、PTA会長を引き受けることでどう世界が広がるかについて力説されて不思議な読後感だな
読みたいと思ってた本をやっとこさ読み始める